2016-11-24

地震研究所の銅版の碑文

地震研究所の銅版の碑文については以前書いたことがあるけれども、そのときは原文を転載していた。漢字を今よく使われているものに変換して読みやすくしたものも用意してあったんだけれど、当時はなぜかブログに載せてなかった。発掘されたので、それを下に載せておきます。

明治二十四年濃尾地震の災害に鑑みて震災
予防調査会が設立され、我国における地震
学の研究が漸くその緒に就いた大正十二年
帝都並びに関東地方を脅かした大地震の災
禍は更に痛切に日本に於ける地震学の基
礎的研究の必要を啓示するものであった。
この天啓に促がされて設置されたのが当
東京帝国大学附属地震研究所である。創立
の際専らその事に尽瘁した者は後に本所
最初の所長事務取扱の職に当った工学博
士末廣恭二であった。その熱誠は時の当大
学総長古在由直を動かし、その有力なる後
援と文部省当局の支持とによって遂に本
所の設立を見るに至ったのが大正十四年
十一月十三日であった。本所永遠の使命と
する所は地震に関する諸現象の科学的研
究と直接又は間接に地震に起因する災害
の予防並びに軽減方策の探求とである。この
使命こそは本所の門に出入する者の日夜
心肝に銘じて忘るべからざるものである。

昭和十年十一月十三日 地震研究所

なお「尽瘁(原文は盡瘁)」は「じんすい」と読みます。

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2016-03-08

サイエンスカフェのスライド(抜粋)

3月5日(土)にSANDECO COFFEE 数学カフェでサイエンスカフェが行われ、話をしてきました。その時のスライドのうち、著作権許諾が必要なものと研究上まだ公表しにくいものを除いて、アップします。何かの参考になれば幸いです。

いくつか、補足という名の言い訳を書いています。

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補足:1914年桜島の地震の時の写真です。生産町は今はなく、易居町・小川町に含まれたようです。天文館の東、海に近い地域です。

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補足:陸側のプレート内地震は通常、こういう分類はしません。特に背弧拡大域の地震は分けないのが普通です。正直分けたほうが良いのか、分けないほうが良いのかまだ分かりません。たいした問題ではないですけれども。

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補足:これはちょっと極論です。二の次、と書きましたが、命を守る備えを最優先に、あとは必要に応じて、という意味です。備えることはたくさんありすぎて、何から手をつけていいのか分からなくなり、結局手をつけないままになってしまいがちです。優先順位が重要です。

備蓄については、個人の意見ですが、水を最優先にすべきと考えています。夏場、脱水症状が起きやすくなるためです。数日食べ物がなくても、健康な人なら死にませんが、数日水がなかったら、健康な人でも死にます。

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補足:「過信しない」というと、逆に全く信じてはいけないのか、となってしまいそうですが、そうではありません。知見はまだまだ不十分であること、予測手法・技術も発展途中であること、情報伝達方法も難しいこと、などから、どうしても限界がある、不確定さが大きい、ということです。あくまで「目安」で、大きく予測がずれることもあると思ったほうが良いです。

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補足:他にも良い本がたくさんあります。本屋さんでいろいろと探してみてください。

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2012-12-07

NOAA DARTの記録をGMTでプロット

NOAA の NDBC DART® Program
http://www.ndbc.noaa.gov/dart.shtml
で公開されているデータをGMTでプロットするスクリプト。

./DART.gmt DART_DATA_FILE

と実行。DART_DATA_FILE はデータを保存したファイル名。目盛りなどの設定は、かなり適当です。

#!/bin/sh
#
# plot DART data
#

# variables

if [ "$1" = "" ] ; then
echo " USAGE: DART.gmt DART_DATA_FILE "
exit 1
fi

DATFILE=$1
#DATFILE=DART-Station-21419.txt
TMPFILE=tmp.dat

PSFILE=${0%.gmt}.ps
VERB=-V
FIRST=-K
MID="-K -O"
LAST=-O

LORP=-P
if [ "${LORP}" = "-P" ]; then
GVLORP=
else
GVLORP="--orientation=landscape"
fi
GVSCALE="--scale=0"

PRJ=-JX12.0T/7.0
BOUND='-Bpa30Mf10m:Time(UTC):/a0.1:Height(m):WSne -Bsa1D'

# GMT variables

#for version 3.4.x or older
#gmtset PAPER_MEDIA A4+ DEGREE_FORMAT 100
#for version 4.0 or later
gmtset PAPER_MEDIA A4+ DEGREE_SYMBOL ring
#gmtset PAPER_MEDIA A4+ DEGREE_SYMBOL degree
gmtset TIME_UNIT m PLOT_CLOCK_FORMAT hh:mm

# -- preprocess --
awk '{printf("%04d-%02d-%02dT%02d:%02d:%02d %f\n",$1,$2,$3,$4,$5,$6,$8)}' ${DATFILE} > ${TMPFILE}

RANGE=`minmax -fiT -foT -I1/0.1 ${TMPFILE}`

# -- command begin --
psbasemap -X5.0 ${BOUND} ${PRJ} ${RANGE} ${LORP} ${VERB} ${FIRST} > ${PSFILE}
psxy ${TMPFILE} -W2 ${PRJ} ${RANGE} ${LORP} ${VERB} ${LAST} >> ${PSFILE}

# -- command end --

# preview
#gv ${GVSCALE} ${GVLORP} ${PSFILE} &

# clean
rm .gmt*
#rm tmp.* *.tmp

実行するとこんな感じの図ができる。Station 21413のもの。

Dart

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2012-09-08

防災とダイエット

 東日本大震災を契機に、防災への関心が高まっている。そのことは良いのだけれど、長続きするかどうか、が気になっている。

 今の状態は、ダイエットで言えば、体重を量ったら衝撃的に増えていたことが判明して、まずいと思ってダイエットを始めた、というところではないだろうか。それで、あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ、となっている。

 しかし、ダイエットをやったことがある人は分かる(人が多い)と思うけれど、継続する、ということが難しい。目に見える形で体重が減っているうちはともかく、だんだんと体重が落ちにくくなってくる。それでも継続しないといけない。

 そのうち、他の誘惑が出てくる。間食をとりたくなってくる、運動が面倒になってくる、などなど。だんだんと、体重を減らすことがどうでも良くなってきてしまい、しだいに誘惑に負けてくる。

 重要なのは、無理なダイエットは長続きしない、ということ。逆に言えば、長続きするようなのは、無理をしていない、ということである。生活習慣として取り入れることができているようなものは、自然にできるようなっているので、長続きしやすい。誘惑に負けにくい。ただ、それには工夫が必要で、自分の性格などで向き不向きがあるから、一概にどの方法が良い、とも言いにくい。ただ、あれこれ考えて、いろいろと試行錯誤する必要があると思う。

 防災もそうなんじゃないかな、と、最近思っている。急にいろいろやりだすと、きっとそのうち無理が出てくる。5年、10年すると防災よりも他のことが大事に思えてくる。しかし、防災が、習慣として自然にできるようになっていれば、長続きしやすい。しかし、それをどうやって実現しなければいけないかは、良く考えて、試行錯誤する必要があるだろう。

 しかし、今の状況は、ちょっと「無理なダイエット」を始めているのでは、と思ってしまう。50年、100年と長続きするようにするには、どうしたら良いか、工夫が求められる。

 ただ、防災はダイエットと違って、リバウンドはあまり考えなくて良い、というのは救いか。

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2012-08-30

南海トラフ巨大地震の想定についての受け止め方

内閣府が南海トラフの巨大地震の想定を公表したが、該当ページ(「南海トラフの巨大地震に関する津波高、浸水域、被害想定の公表について-内閣府防災情報のページ」)は、混んでいるせいか、ほとんどアクセスできない。このなかの文書の

「南海トラフの巨大地震による津波高・浸水域等(第二次報告)及び 被害想定(第一次報告)について」

のI.の

「2.「最大クラスの津波」をどのように受け止めるべきか」

はとても重要だと思う。報道でも少し触れているところもあるけれど、多くの人にきちんと知ってほしい。でも、アクセスできなければ、それはかなわない。そこで、以下にその部分を引用する。

2. 「最大クラスの津波」をどのように受け止めるべきか
(1)南海トラフにおいて次に発生する地震・津波が、今回示される「最大クラスの地震・津波」であるというものではない。
(2)東日本大震災の教訓から、命を守ることを最優先として、この最大クラスの津波への対応を目指す必要がある。
(3)しかしながら、この地震・津波の発生頻度は極めて低いものであり、過度に心配することも問題である。最大クラスの津波の高さや津波到達時間が、実際に避難するに当たって厳しいものであるからといって、避難をはじめから諦めることは、最も避けなければならない。なぜなら、最大クラスの津波に比べて規模が小さい津波が発生する可能性が高いにもかかわらず、避難を諦めることで、助かる命を落としかねない。
(4)これまで取り組んできた避難訓練などが無意味になるものではなく、条件が厳しくなったと受け止め、「非常に大きな津波が起こりうるということ」を念頭に置き、「強い揺れが起きたら逃げる」ということを一人ひとりがしっかりと認識して頂きたい。敢えて言えば、正しく恐れてほしい。

これらについて、1つ1つ解説してみたい。ただし、これは私の解釈であって、発表した委員会の意図と異なる可能性がある。話が脱線しているところは特に。

(1)南海トラフにおいて次に発生する地震・津波が、今回示される「最大クラスの地震・津波」であるというものではない。

次に来るのが最大かどうかは、「全く」予測できない。もしかすると、これまでに何回も起きているような「平均的な」地震・津波かもしれないし、その可能性のほうがずっと大きい。あるいは、逆に小さめの地震・津波になる可能性すらある。

しかし、可能性が低いとはいえ、ないわけではないので、最大クラスのものはやはり考えておく必要がある。

また、次の地震・津波が「平均的な」ものだった場合でも、その次、あるいは次の次に最大クラスのものが起きる可能性はある。対策をしておいても、決して、無駄だった、ということにはならない。

(2)東日本大震災の教訓から、命を守ることを最優先として、この最大クラスの津波への対応を目指す必要がある。

命だけでなく、家や財産を守ることも重要ではあるけれども、現実的には、やはり命を守ることが最優先となる。命を守ることに絞り込めば、最大クラスの地震・津波であっても、対策できる可能性が高くなる。

(3)しかしながら、この地震・津波の発生頻度は極めて低いものであり、過度に心配することも問題である。最大クラスの津波の高さや津波到達時間が、実際に避難するに当たって厳しいものであるからといって、避難をはじめから諦めることは、最も避けなければならない。なぜなら、最大クラスの津波に比べて規模が小さい津波が発生する可能性が高いにもかかわらず、避難を諦めることで、助かる命を落としかねない。

次に来るのが「平均的な」地震・津波である可能性のほうが高いのだから、その対策も非常に重要。最大クラスにすぐに対応できないからと言って、何もせずに諦めてしまえば、「平均的な」地震・津波が来た時にですら、対応できない。これでは、救える命も救えない。

さらに言えば、地域によっては、別の地震・津波も考えておかなければいけない。おそらくこうした
別の地震・津波の多くは、今回想定した最大クラスの地震・津波よりも小さいものだろう(地域によっては震度や津波の高さが部分的に大きくなるものもあるだろうけれど)。だから、何もせず諦めてしまうことは絶対に避けたい。

(4)これまで取り組んできた避難訓練などが無意味になるものではなく、条件が厳しくなったと受け止め、「非常に大きな津波が起こりうるということ」を念頭に置き、「強い揺れが起きたら逃げる」ということを一人ひとりがしっかりと認識して頂きたい。敢えて言えば、正しく恐れてほしい。

低頻度ではあるが、最大クラスでは、このぐらいの被害がありうる、ということは知っておく。そうしなければ、逃げることすら頭に浮かばない。だから、とにかく、まずは知ることが大切。

多くの人が「知る」ことによって、対策が進みやすくなる。個人レベルでもそうだし、自治体レベルでもそう(例えば税金の使い途として理解されやすい)。

各所で聞かれるのが、2 段階の対策。1 段階目は頻度が数十年から数百年に 1 回程度の災害への対策で、これについてはほぼ完璧を目指す、2 段階目は頻度が千年に 1 度程度の災害への対策で、可能な限り被害を減らすことを目指す、というもの(聞きかじりなので、細かいところが違っているかも)。こういうコンセプトは、現実的で、今後多くのところで採り入れられてくると思う。これは「正しく恐れる」ことの 1 つの解かもしれない。

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2012-08-21

NHK『ドキュメンタリーWAVE「訴えられた科学者たち~イタリア・地震予知の波紋~」 』を視て思ったこといろいろ

考えがまとまっていないので、箇条書きで。それでもあまり推敲していないので、分かりにくい部分があると思うけれど、ご容赦を。私の意見は、番組が公平な立場で、かつ情報が正しいとして、という前提で書かれている。ただ、この記事を書くために番組を見直したりはしていないため、私が間違えて覚えているという可能性は大いにある。

番組のウェブページ → http://www.nhk.or.jp/documentary/

・「安全宣言」はやりすぎ。番組の予告で「安全宣言」と言ったときに耳を疑った。何かの間違いでは、と思った。

・行政側が「安全宣言」ありきで、科学者に意見を聴く会議を開催したらしい。会議中の科学者の意見は断言を避けていたが、会議後の行政による(で合ってる?)記者発表で断定的に伝えられたようだ。もしそうだとすれば、記者発表で断定的に表現されていたのを科学者は黙っているべきではなかったと思う(記者発表の場にいたのかは良く分からなかったが、後であっても否定したほうが良かった)。しかし、それが過失致死罪に値するかと言うと、厳し過ぎないか、というのが私の印象。でも、それは私が地震学者だから、かもしれない。一般の人からみたら、やはり値するように思うのだろうか。

・いずれにしても、日本のほうがこうした場合の対応に関しては一日の長がある。たとえ、デマの地震予知情報があったとしても、「安全宣言」はしない。偶然にも大地震が起きる可能性があるため。だから、「起きるかどうかは分からない」「いつ起きても良いように」などと言うほうが良い。

・ラドンでの地震予知は、少なくとも私が知る限りでは確立されたものではない。それらしいデータを見せてはいたが、他の期間との比較がないので、あれだけでは説得力がない。最低でも、きちんと統計学に基づいた結果を見せる必要がある。ラドンでの地震予知の研究は、それなりに妥当なものだとは思う。しかし、統計的に(予知できる、できないの)結論を出すことができるようになるまでには、まだまだ長いデータの蓄積が必要なのではないか。

・研究者による地震予知情報の発信は自由であるべき、というのが私の意見。そうしないと地震予知研究は検証されない。しかし、情報の出し方は一定の配慮が必要だろう。少なくとも、試行中、などと言うべきではなかったか。行政はラドンで予知情報を出した研究者に対して、「お騒がせ野郎」と表現していたので、よっぽど腹に据えかねる情報の出し方をしていたのではないかと想像。それでも、パニックを恐れて「安全宣言」を出すための会議を開いたり、ラドン研究者に対して騒乱罪で訴えたりするのはやりすぎだろう。なんでも裁判に訴えるのは、イタリアだからか?

・関東大震災前の大森房吉と今村恒明の対立を思い出す。うろ覚えで書くので、間違っているかもしれないが、今村は、関東での大地震発生の発生間隔に注目し、関東でもうすぐ大地震が起きると公表した。しかし、大森はそれを否定した。しかし巨大地震が起きてしまった。この時は、大森は訴えられるということはなかった。

・なお、今村が論理が正しかったかと言うと、今の地震学の知見からすれば、間違っていたと言えるだろう(プレート境界で起きる地震も、プレート内部で起きる地震もいっしょくたにしていたため)。だから、今村も大森も、どちらも正しかったわけではない。

・「群発地震が起きているから、エネルギーが少しずつ放出して、好ましい(大地震が起きない)」という考えは、普通、地震学者は持たない。例えば、マグニチュード(M)6とM5と比べると、M6よりM5のほうが発生頻度は約10倍になる。しかし、エネルギーはM6はM5の約32倍だ。つまりM5の地震でM6分のエネルギーがすべて放出される、ということはない。このように、地震学者は(あるいは定量的に考える人は)否定するだろう。しかし、定量的に考えない人は、群発地震が起きているから、大きな地震が起きない、と勘違いをしてしまう(イタリアの行政の人がそうだったような印象)。ここで齟齬が生じてしまう。似たようなことは多い。これが怖い。

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誤解していたので補足(2014-11-11):「エネルギーはM6はM5の約32倍」というのは、放出された地震波のエネルギーなので、この議論は乱暴だった。放出された地震波に加えて、断層運動(断層破壊とか熱とか)を含めた地震発生時全体のエネルギーについてはまだ良く分かっていない。そうはいっても、M5が10回起きればM6のエネルギーになるとはとても思えないので、たぶん大丈夫。
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・ライクラの建物の構造が弱すぎることに驚いた。いくら古都とはいえ、耐震補強を推進しておかなければいけなかったのでは。群発地震が珍しくなく、かつ「地震が起きたら家から逃げろ、夜が明けるまで家に帰るな」(うろ覚え)と昔から言われているような背景があったにも関わらず、だ。ニュージーランド・クライストチャーチの地震ではCTVビルの耐震性が問われているのに、イタリアでは建物の耐震よりも安全宣言のほうが問われているのが異様だ。もしかしたら耐震についても問われていて、それが日本に伝わっていないだけかもしれないが。

・建物がきちんと耐震化できていると、地震予知情報(あるいはそれを否定する安全宣言)への依存度(あるいは期待度)が低くなる。今の日本がそうなりつつある。日本ではそういう背景があるからこそ、パニックが起きるとは思えないため、「起きるかどうかは分からない」「いつ起きても良いように」と率直に言いやすいのかもしれない。他にもおそらくいろいろな背景が違うので、イタリアの地震学者の苦悩は、日本の地震学者(私を含めて)には理解しにくいところがあるかもしれない。

・いまだに壊れた建物がそのままになっている、というのにも驚いた。映像を見た限りでは、復興のふの字もなかった(ようやくこれから、というような表現だったと思う)。政治がどうのこうの、と言っていたが、それにしても、と言う感じ。政治も行政も災害後の復興について、すぐに動けるようになっていないらしいという印象。日本では、いろいろとスピード感がないとか批判されるけれど、かの国に比べれば、とつい思ってしまう。被災者の立場を考えれば、早ければ早いほど良いので、批判が出るのは当然ではあるのだけれど。

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2012-06-18

地学という名称

 理科では、物理学、化学、生物学、地学がある。この中で、地学、という名前が、いまひとつな気がしている。その理由は2つ。

 1つ目。英語で地学という言葉がない(物理学、化学、生物学はある)。Earth science (地球科学)とすることが多いけれど、これだと天文分野が抜けてしまう。Earth and planetary science (地球惑星科学)がもっとも惜しいか。恒星や宇宙空間が抜けるけれど、これは大学では物理学の範疇になることが多い。

 2つ目。その分野を研究する人を指して、物理学者、化学者、生物学者、ということはあっても、地学者、ということはない。やっぱり地球科学者、が近いが、天文学者が含まれない。

 どちらも要因はおそらく同一で、地学というのがいくつかの分野の複合体であることだから、だろう。地質学、地球物理学、天文学、と言う感じ(必ずしも良い分け方じゃないかもしれないけれど)。それぞれ英語があるし、○○学者とも言える。

 私個人としては、地学という単語は地味なイメージなんだけれど、かと言って、他に何か良い言葉が思いつかない。天地学?、かなぁ。でもやっぱりピンとこない。

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2012-01-29

地震学者の反省、の報道に関して、知っておいてもらえるとうれしいこと

いくつか箇条書きで。

・地震予知の3要素である「場所」「大きさ(マグニチュード)」「時期」のうち、「時期」が一番のハードル。しかし、「場所」と「大きさ」はある程度できていると考えられていた。東北地方太平洋沖地震では、その「大きさ」すら大きく外れたことが、地震学者としては衝撃的だった(と私は理解している)。

・(内陸の活断層に関しては、未知の活断層が多いので「場所」もまだまだ、というのは認識されている。)

・2003年十勝沖地震は予測どおりだった。

・釜石沖では小繰り返し地震が起きていて、最近のものは予測されたとおりに起きていた。

・地震学者みんなが地震予知・長期予測だけを研究しているわけではない。例えば、地球の構造を研究している人も多い(地震波形のデータを使うことが多いため)。

(何か書き忘れている気がするので、随時追記していきます)

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2012-01-21

ホットスポット

 地球科学でのホットスポットの話。

 ハワイやアイスランドが良く知られている。他にもたくさんあるんだけれど、実は明確な定義がないために、人によって、ホットスポットかどうかの判断が異なる。だから、ホットスポットの分布図というのは、バリエーションがあって、これが絶対に正しい、というものはない。

 ホットスポットは、地球深部にマグマの供給源があるために、常に同じ場所でマグマが噴出する。このために、できた火山はプレートが動くと、そのマグマの供給源から外れて、噴火しなくなる。そして、またマグマ供給源のところで新たな火山ができる。これが繰り返されて、島や海山の列ができる。これをホットスポット・トラックという。ハワイから延びるハワイ-天皇海山列が有名。

 このホットスポット・トラックをたどると巨大火成区 (Large Ingenous Provinces, LIPs) というのが見られることがある。これは非常に大きな火成(火山)活動が起きて、大量に噴出したマグマが冷え固まって(洪水玄武岩という)台地になったもの。その大きさは、ものによっては日本をすっぽり覆ってしまうぐらいの非常に巨大。過去にそういう活動があった(しかも世界中のあちこちにある)わけで、その発生原因などは重要なのだけれど、未解明な部分が多い。地球史的にも地球環境の変化をもたらしていると考えられている。

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2012-01-18

野島断層保存館

年末の休暇のある日、北淡震災記念公園にある野島断層保存館を訪れた。野島断層は阪神・淡路大震災を引き起こした兵庫県南部地震の断層。地震発生後1度訪れたことがあったけれど、保存館ができてからはまだなかったので、もう1度来てみたかった。

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館内も写真は自由に取らせていただける。

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↑最初はこの部分。アスファルト舗装だったところ。側溝が大きく食い違っているところが地震によるずれを示している。向こう側の側溝の方向が斜めになっているのは、もともとそういうものだったらしい。

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↑断層が伸びている様子。途中で枝分かれしている。

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↑断層の部分は樹脂(だと思う)で保護している。このあたりの「保存」の技術は大変なのでは。

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↑食い違いが良く分かる部分。手前の部分よりも向こう側が右にずれている。これを、右横ずれ、という。また、向こう側がこちら側に乗り上げているので(これでは分かりにくいけれど、次の写真でよく分かる)、逆断層の成分も含む。したがって、逆断層の成分を含む右横ずれ断層、という。

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↑断層を横切るように掘った断面。この掘った穴が断層に直行するような溝(トレンチ)になっている(ことが多い)ので、トレンチ調査という。トレンチ調査によって、いつ、どのぐらいの地震が起きたかが分かる。それでその活断層での地震発生の繰返し周期を推定する。

しかし、この断面は、想像していた感じではなかった。といっても、私自身、トレンチ調査を経験していないので、これが普通だったりするかも知れないけれども。

右と左でモノが違うし、層も良く分からないしで、見ただけでは、過去の地震での食い違いの量が分からない(素人目だからか)。

断層面に何か挟まっているように見える。このあたりは非常に興味深いが、具体的には良く分からず。勉強不足。

P1020806s

↑液状化で、縦に突き抜けているものがある。途中で止まっているということは、そこより上は、この液状化を起こした地震(いつのことか分からないけれど)よりもあとに乗っかったものだと言えそう。

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↑有名なあの家。塀が断層でずれている。

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↑この家は「メモリアルハウス」として、現在は中で展示がされている。

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↑実はこの家自体はほとんど壊れていないそう。丈夫な家、として残されている。しかし、若干傾いたりはしていて、その展示もある。

写真には撮らなかったけれども、これらの他にもいくつか建物と展示がある。特に、実際の揺れを体験できる装置は良くできていて(起震車より良くできていたと思ったが気のせいかもしれない)、地震の経験が乏しい人にはとても効果的かと思う。

全体に専門家の目が行き渡っているようで、おかしな展示や解説がなく、また効果的に情報を伝えているように思えた。

偶然にも、知り合いの愛知教育大の先生が学生を連れてきているところに遭遇した。たしかに学生に見せるのに適していると思う。私も機会があれば連れて行きたいけれど、さすがに旅費の負担が大きいな。

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